ルイーダの雑記帳

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しっとり切なく描く「秘密」の恋愛模様 映画『小さいおうち』

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小さいおうち


山田洋次監督の映画『小さいおうち』を鑑賞。

昭和時代のラブストーリーというぐらいの事前情報しか持たずに観たのですが、いい意味で予想を裏切る内容でした。この映画に隠されている「秘密」は、私にとってはとても切なく胸を締め付けられます。

※以下ネタバレあり


あらすじ

第143回直木賞を受賞した中島京子の小説が原作。

小さいおうち (文春文庫)


健史(妻夫木聡)の親類であった、タキ(倍賞千恵子)が残した大学ノート。それは晩年の彼女がつづっていた自叙伝であった。
昭和11年、田舎から出てきた若き日のタキ(黒木華)は、東京の外れに赤い三角屋根の小さくてモダンな屋敷を構える平井家のお手伝いさんとして働く。そこには、主人である雅樹(片岡孝太郎)と美しい年下の妻・時子(松たか子)、二人の間に生まれた男の子が暮らしていた。
穏やかな彼らの生活を見つめていたタキだが、板倉(吉岡秀隆)という青年に時子の心が揺れていることに気付く。
転載元:Yahoo!映画

タキが時子に寄せる、純粋な恋心

時子と板倉との不倫関係は、本作の「秘密」ではありません。タキが時子に寄せる恋心こそが「秘密」なのです。

「好き」や「同性愛」、「レズビアン」というような言葉や表現は、一切出てきません。しかし、そこかしこに散りばめられているシーンを当てはめていくと、おぼろげと浮かび上がってきます。


まず最初にそれを感じさせるのは、時子の足をマッサージするシーン。無邪気にせがむ時子の脚を、どぎまぎとしながら揉むシーンは官能的にも感じました。作品の中では、これが最も直接的なシーンだと思います。
これ以降にこのようなドキっとさせるシーンは、もうありません。


おもしろいのは時子の友人との会話です。
時子と板倉の不倫関係の話をして涙を流すタキに、「この話は秘密」と彼女が言ったのは一見不倫について口外してはいけないということのように思えます。
しかし、「男性っぽい」という彼女は、きっとレズビアンなのでしょう。彼女が同性愛者だったとしたら、タキの時子に対する想いこそ話してはいけないことだと諭しているように聞こえてきますよね。


このように作品自体が「秘密」を隠すようにミスリードをしていくことで、誰にも言えない切なさや辛さを感じさせられるのです。

タキが生涯をかけて負った「罪」

時子が書いた出兵する板倉への手紙を届けたふりをして、生涯を終えるまで隠し通したタキ。

会ってしまっては平井家がめちゃくちゃになってしまうという危惧もあったかもしれません。しかし何よりも、タキの嫉妬心がそうさせてしまったのではないでしょうか。

最後に時子と板倉を会わせてあげられなかったことを後悔し、時子の後を追うこともできず長生きをしてしまった。一生独身を貫きながらも悔やみ続けていることを思うと、「長く生きすぎた」と涙を流しているシーンがより深く胸につきささってきます。

不本意な選択をせざるを得ない時代。そして、救い。

不倫も同性愛も、今よりもずっと風当たりの時代だったのでしょう。時子への恋心、平井家を守らなければという想い、時代に流され最後には不本意な選択をタキはとってしまいました。
それに対し、時子の息子・恭一の「苦しまなくていいんだよ」というクライマックスの言葉はまさに「許し」で、観ている側にとっても「救い」のように感じられるセリフでした。

レトロモダンな雰囲気もいい、上質な映画

というわけで、本作はとっても楽しめました!当時の風土を感じさせるレトロモダンなセットや衣装も素晴らしく、上質な恋愛ストーリーを味わえます。

戦前から戦中を描いていますが、決して暗くなりすぎず生き生きとした暮らしの風景を描いているのが好印象。ごはんが美味しそうな映画に、悪い映画はありませんね!


小さいおうち [DVD]
小さいおうち
2014年
監督:山田洋次
脚本:平松恵美子、山田洋次
出演:松たか子、黒木華、倍賞千恵子、吉岡秀隆、妻夫木智

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